現在ではほとんど暗渠となり、渋谷川緑道にその名を残している渋谷川をはじめ渋谷一帯を流れる川はかつては川魚の泳ぐ清流でした。
明治の末期頃まではいくつもの水車小屋があり、精米などを行っていました。
このころ現在の地下鉄千代田線代々木公園駅近くに住んでいた国文学者・高野辰之はこうしたせせらぎの美しさに心ひかれて後に小学唱歌となった 「春の小川」を作詞しました。
小田急線代々木八幡駅近くの線路沿いにその歌碑が建てられています。
渋谷駅と一体化して建っている東急百貨店東横店。
東口に東急百貨店の前身・東横百貨店として現在の東館が建てられたのが昭和8年。
その後、山手線を挟んで西館、南館が建ち、現在の姿になっています。
この東横店東館には地下階が無いのをお気づきになったことはありますか。
東館が地下階を設けない理由は、ここの建物の下に「渋谷川」があるからです
ちょうど川をふさぎ跨ぐ形で、この建物は建っているのです。
この河川を跨ぐ建築ですが、通常、河川は公共用地のため、その上部には 橋以外の建築物は建てられないことになっています。
ここでは例外的に認められた様です。
建物北側、宮益坂、道玄坂の通り(現国道246号線の旧道)の地下には、東急 新玉川線・営団半蔵門線の渋谷駅があります。
ここは地下駅で、地下1層目と2層目がコンコース(自由通路)、3層目がホー ムという構造ですが、渋谷川と交差する部分だけ、地下1層目がありません。
渋谷川は健在なのです。