東急大井町線の九品仏(くほんぶつ)駅を降り改札口を出て左に折れます。
そのまま少し歩るき、「九品仏駅前」交差点に出ると、そこに浄真寺(世田谷区奥沢7-41) があります。
お寺の参道を歩いていくと、本堂の向かいにお堂が三つ並んでいて、この三仏堂には阿弥陀如来像が三体ずつ安置されています。
合わせて9体ある事から、通称九品仏(くほんぶつ)と呼ばれています。
入り口の参道は「二河白道(にがびゃくどう)」を表しています。
火の河と荒れ狂う河に挟まれた白い細い道、白道は浄土往生を願う信心の道で、一心不乱に念仏を唱えて極楽浄土へ渡ろうということを意味しているそうです。
山門をくぐって左手に「衣領樹(えりょうじゅ)」と書いた木があり、「懸衣翁(けんえおう)」の札がかかっています。
右手に閻魔大王の入った閻魔堂があり、大王の横に「葬頭河婆(そうずかば) = 奪衣婆(だつえば)」が控えています。
これらの木や閻魔堂には次の意味があります。
人は死ぬと七日目には三途の川の辺に到着するそうです。
ここには、人が冥土に行く為には、渡らなければならない三つの川、「葬頭川(そうずがわ)」三瀬川(みつせかわ)「渡り川」があります。
川の流れは三つに分かれていて、前世の行為(業)にしたがって、それぞれにふさわしい流れを渡ることになるそうです。
三途とは地獄・餓鬼・畜生の三悪道のことですが、この川の辺に上記の衣領樹 (えりょうじゅ)という木があります。
木の下には「奪衣婆(だつえば)」という老婆がいて、木の上には「懸衣翁 (けんえおう)」というお爺さんがのっています。
お婆さんが着ている衣類を脱がせ、木の上のお爺さんに渡し、木の枝に掛けると、その重みで枝が垂れる。
枝の垂れ方で生前の罪の軽重が分かる仕掛けです。
その「懸衣翁」と「奪衣婆」が、35日目の閻魔大王の裁判に陪席している ので、嘘の申告は出来ないのだそうです。
閻魔堂の先に六地蔵が並んでいます。
六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天)の入口に立ち、衆生の苦を救うと言う有り難いお地蔵さんなのだそうです。
本堂は西向きで現世(此岸(しがん))を、三仏堂は東向きで浄土(彼岸)を現 しているそうです。
浄真寺でのお祭りは「二十五菩薩如来会」といい、三年に一度行われ、奥沢の 夏の風物詩です。
一般には九品仏の“お面かぶり”として知られており、文政十年(1827)の千部会(せんぶえ)のときから始まったといいます。