「表参道の変遷」同潤会青山アパートの足跡

青山同潤会アパート
東京の表参道には、かつて「同潤会青山アパート」という歴史ある建物がありました。このアパートは、関東大震災後に建設され、70年以上にわたって表参道の町を見つめ続けました。現在は「表参道ヒルズ」に姿を変えましたが、その歴史と魅力を振り返ってみましょう。

同潤会青山アパートの歴史

誕生の背景

同潤会青山アパートは、1926年に建設されました。このアパートは、関東大震災後の住宅復興を目的に設立された同潤会によって推進されました。同潤会は、世界から集まった義捐金を基に設立され、日本最初の公的な住宅供給機関として機能しました。同潤会は、住宅営団、住宅公団を経て、現在の都市基盤整備公団に引き継がれました。 同潤会アパートメントは、東京・横浜の交通の便の良い場所に大正13年(1924年)から昭和16年(1941年)にかけて15ヶ所、2千200戸余りが建設されました。その中でも青山アパートは、特に注目される存在でした。

設計と設備

青山アパートは、ヨーロッパの集合住宅を参考に設計され、当時としては画期的な設備を備えていました。電気、ガス、水洗トイレ、ダストシュート、共同浴場などが完備され、鉄筋コンクリート造のモダンな住宅として注目されました。特に、各階段の上に共同浴場が設けられていたことは、当時の住民にとって大きな利便性を提供しました。 また、青山アパートは憧れの的であり、各界の著名人も多く住んでいました。彼らは、このモダンで便利な生活環境に惹かれ、表参道の中心で生活を送っていました。

表参道の変遷

青山アパートの取り壊しと再開発

青山アパートは2003年に取り壊され、その跡地には「表参道ヒルズ」が建設されました。表参道ヒルズは、安藤忠雄氏の設計による地上6階・地下6階建ての住複合施設で、上層部に38戸の住宅が設けられ、地上3階から地下3階までは商業施設になっています。2006年2月11日にオープンし、表参道の新たなランドマークとして注目されています。
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表参道ヒルズの特徴

表参道ヒルズは、表参道の景観を損ねないよう設計されています。中の通路はスパイラル状のスロープになっており、坂道の勾配は3度で、表参道の通りの傾斜と同じに調整されています。また、地下空間を利用して地上部の高さを抑え、ケヤキ並木に揃えて設計されています。これにより、表参道の自然な景観と調和しながらも、モダンな商業施設として機能しています。

同潤会アパートの遺産

歴史の継承

同潤会青山アパートの雰囲気を引き継ぐため、表参道ヒルズ内には「同潤館」という施設があります。同潤館は、同潤会青山アパートを建築当初の姿に復元したもので、かつて使用されていた部材も随所に再利用されています。このような取り組みにより、過去の歴史が現在に繋がる形で保存されています。

文化的影響

青山アパートは、表参道の新名所として観光バスも立ち寄るほどの人気を誇りました。軍人や役人、大学教授などが住む高級アパートとしても知られ、各界の著名人も多く住んでいました。その存在は、表参道の文化や社会に大きな影響を与えました。現在も、表参道ヒルズはその文化的影響を引き継ぎ、多くの人々に訪れられています。

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