東京には意外にも涌き水が多く、平成7年度の区町村へのアンケート結果によると、区部に280ヶ所が確認されています。
有名な所では、中野区新井薬師の「白龍権現水」、文京区の「関口芭蕉庵(ば しょうあん)」、世田谷区「等々力渓谷」など、そのまま飲める所も20ヶ所 以上あります。
特に区内で数少ない自然境として知られる「等々力渓谷」は、至る所から涌き水が出ていて、「不動の滝」と知れれる滝は、苔むす崖に二つの竜頭(りゅうず)があり、そこから二条の滝が落ちています。
涌き水が多い区は、まだ自然が残る世田谷区や練馬区ですが、港区、渋谷区、 文京区などの都心部や原宿、東京ドーム周辺にも点在しています。
もともと東京は、武蔵野台地が沢山の川によって形成された谷が多かったので 、地下水道が崖に露出して涌き水が出やすい土地なのです。
文京区本郷や中央区佃あたりでは、現在も現役の井戸があるそうです。
しかし、地下鉄工事や高層ビル建設により地中の水道(みずみち)が寸断されたり、都市化の進行で雨水が地中に染み込まなくなり、地下水の水量が減少す るか消滅している所が多いようです。